ファンというからには、やっぱり盗聴事件のことは避けて通れない。
その日は「スターどっきりマル秘放送」で寝起き直撃、深夜は「少女日記」、んでもってラジオで「O−SO−RO」とまるまる石川梨華デーだとわくわくしながら目覚めて手に取った新聞の一面を飾っていたのは「モー娘盗聴」の文字と、彼女の写真。
なんじゃこりゃあああああああ!
何がなんだかわけがわからず記事を読んでみると、東京でひとり暮らしをしている彼女が何者かに盗聴されているとのこと。
おいおいおいおい!
先日発売されたばっかりの「へそ ファンブック」で彼女は、心の支えはお母さんとの毎日の電話だとインタビューに答えている。
「ひとりは精神的にさみしい。だから夜になると毎日家に電話して、お母さんにその日の報告をするんです。いつもそんなに長くなくて2〜3分で切っちゃうんだけど、でも自然に電話しちゃう。ツアー回ってるときも、ホテルついたらすぐ電話。早くおうちに帰れたときは、家に来てもらって甘えたりして」
その電話は、悪意の盗聴者に筒抜けだったわけだ。
この夏から、娘。のメンバーでは彼女だけが集中的にプライベートショットを写真週刊誌に抜かれた。
友達と撮ったプリクラを掲載されるのとは訳が違う。彼女のプライベートな人間の誰かが週刊誌に情報を売っているのではないかという噂もネットでは立っていた。
いろんな雑誌のインタビューで、彼女自身も、娘。のメンバーも、彼女が悲観的なモノの考え方をする人間だと証言している。
結果的に、彼女の知りあいは誰も彼女を裏切っていたわけではないことが証明されたわけだが、自分の心の一番大事な部分を、おそらく100メートルも離れていない場所で、何者かもしらない人物に聞かれていたと知ったとき、彼女の心の中にどれほどの嵐が吹き荒れただろう。
その夜の「どっきり」では、彼女たちの寝起きが紹介された。
おそらく夜遅くまでテレビを見ていたのだろう、ベッドの足に横になって寝ていた辻。
メールをしていたのか話こんでいたのか、ケータイを握りしめて眠っていた吉澤。
どれもお茶の間の笑いを誘うには格好のショットだったわけだが、その中でひとりだけ、彼女ひとりだけが異彩を放っていた。
乾燥しやすいホテルでは喉を痛めないように常に寝る時はマスクをし、酸素吸引機も持ち歩いているという。
真面目なのだ。
いいかげんにできないから、学業と歌手活動のかけもちができずに高校へ通うことをやめ、わずか15歳で東京へ出てひとり暮らしをはじめたりする。だいたい「物音ひとつで目が覚めてしまう」ほど眠りの浅い彼女がひとり暮らしをすること自体が無謀なのに。
ファンブックにはこうも書いてある。
「すぐ泣いちゃうんです。注意されたことができない自分がイヤになって。泣くとカッコ悪いから泣きたくないんですよ。加護とか辻とかもがんばってるのに、わたしがこんなに泣いちゃっていいのかと思ってがまんする」
彼女は新メンバーの中で自分が一番年上だということをかなり意識している。
歌にしてもダンスにしても、自分が一番に上達しないといけないのだと自分に課し、現実との落差に打ちのめされる。そんなことを言えばメンバーの誰ひとり中澤が娘。入りした時の24歳に届いていないというのに。彼女は自分を許す方法をまだ知らないのだ。
その夜の少女日記のテーマは「挫折した時、どのようにして立ち上がるか」というものだった。
彼女はそこで自分がメンバーから「ネガティブ石川」と呼ばれていることを話し、なにをやっても失敗したことに落ち込んで物事を前向きに考えることができないとこぼし、前向きに考えなければいけないことはわかっているのだけれどもなかなか実践できないと語る。でも、それでも、今の自分に必要なことはいつまでも昨日に引きずられず、明日を見ることだと言い、こう締めくくるのだ。
「失敗や悩み事があって落ち込んでいる人は、石川と一緒にポジティブになって、元気になって、頑張っていきましょう」
もちろん、これは録画だ。
この回を収録した時に彼女が盗聴の一件を知っていたかどうかはわからない。
でも、見ている僕らは知っているし、そんな彼女が事件を知ってどれだけのショックを受けたのかを想像することはできる。
想像することしかできないのだ。
現実として僕らができることは間接的すぎて、彼女の家族や友達、娘。のメンバー、そしてスタッフの人たちの慰めや励まし、そして彼女自身の心の強さによって、傷から立ち上がることを待ち望むことしかできない。
その週の金曜、生放送である有線放送大賞で特別賞を受賞した時、最後にマイクが回わされた彼女はこう言った。
「モーニング娘。に入れてよかったです!」
そう言って歌うのは「I wish」。
晴れの日があるから、そのうち雨も振る。すべていつか納得できる
芸能界という世界は、神経の太いほうとはあまり言えない彼女にとって、あまりなだらかとはいえない坂道だと思う。けれども、その道を歩むことのできるチャンスを得た彼女は、そのチケットが不幸も呼び込むかもしれないことを知った上でなおも握り続けることを決め、前に進むことをTVカメラの前で約束したのだ。
それで万事うまく収まるかと言えば、あいかわらず歌は上達しないし、ネガティブシンキングも健在だ。リアクションがつまらないと姐さんに冷たくもされる。
でも、それでも頑張っている彼女を見ていると、そのうちなんとかなるさ、と思えるし、そして、いつか必ずそうなるだろうことを期待するのだ。
どうすれば、あれほどに純粋さを持ち続けたまま大人になれるのだろう。
誰だって傷つけられれば疑うことを覚えるし、失敗すれば上手に生きようとする。
なのに、どうして彼女は芸能界という場所に飛び込みながら、その純朴さ、素直さを失わずにいられるのか。
娘。のファンになる前、「うたばん」でジョンソンと呼ばれて遊ばれている彼女を見ていて、けらけら笑っていた口なのだが、そんな自分がびっくりしたのは、ドッジボールゲームの回だ。
メンバーの中で彼女だけに専用の避難小屋があり、そこに隠れているうちは貴さんも中居もボールをぶつけないという特別ルール……なのだが、そんなもん誰が見たって罠に決まってるじゃん!!
なのに彼女はうかうか避難小屋に入り、身動きがとれなくなったところで、中居の凶弾を浴びるのだ。
わざとか!?
彼女はそこまでわかってて、でもウケを取るためにあえて小屋に入ったのか!?
普通に考えればそうだ。けれど、彼女にはそういった芝居くささがない。演技が完璧なのだろうか。そうじゃない、彼女に危うさのようなものを感じて僕は圧倒されたのだ。
こんなに素の人間が、数千万人の視線にさらされる場所にいていいのかよ!?
裸の赤ん坊を放置しているようなものじゃん!
「うたばん」で、ゲームに勝てばソロで唄える、というイベントがあった。
なんかで読んだのだが、彼女は負けようと思ったらしい。
そんなところで仲間を蹴落としてソロを勝ち取っても、印象が悪くなるだけだし。
ところが、いざゲームが始まった途端にそういった計算は飛んでしまい、気づくと勝っていたという。
あか、青、黄でゲームをした時もそうだ。
番組は露骨に飯田のいる青組イジメをするんだけれど、彼女は半泣きになりながら、それでも負けまいとする。
誰にでもできることじゃない。
切れた皮膚にはかさぶたができてその血を止めるように、人は傷つかないように成長する。
自分を守るために素顔を隠すことを覚えたり、計算をする。
彼女が傷つけられた時に僕が感じた痛みというのは、彼女は演技で傷つくことのできる人間ではないし、心をかばうこともしない、刃を真っ正面から受け止めて、その柔かいままの皮膚を傷つけて血を流してしまう、そんな純粋さに対する恐れなのだ。
今年の秋の「とくばん」で彼女は、くせである「じっと見つめられる時の顔」が気持ち悪いと言われた。
笑えばいいのだ。もしくは怒るとか。
しかし、彼女はその言葉を真っ正面から受け止めてしまい、ろれつも回らなくなるほどショックを受けてしまうのだ。
顔を青ざめさせながら。
さすがにやりすぎたと貴さんたちも思ったのか「ジョンソンはかわいいよ」とおだてはじめ、彼女は機嫌をよくする。番組のことを考えて、つらいのを我慢して笑顔を作ったのか。そうだとしても充分エライ。個人的な気持ちを言えば、そのほうがいいと思った。彼女の心は刃を跳ね返すだけの固さを手に入れていることになるからだ。
だが、彼女が芝居でもなんでもなく、みんなに誉められたことを信じこんで笑顔になったのだとしたら?
そうだとしたら、そのほうがはるかに危ういんじゃないか?
そんなにピュアな心をしていたら、傷つかなくてもいいことに涙して、悩まないでいいことに苦しんだりする。はるかに危険だ。
誰よりも大きな身体をしていながら、その心は誰よりも汚れを知らない。
そのアンビバレントが彼女の魅力なのだ、と言ってしまえばそこまでだ。
だから彼女には誰も勝てない。
心の純粋さは失ったら最後、二度と取り戻すことができない代物だからだ。
コントロールできない自分をもてあまして、みんなの笑いを呼ぶことがあっても、彼女の中からあふれる光はその輝きを失わない。
意表をつく言動をするたびに「また電波を受信してるな……」と思うのだけれど、そんな彼女をたまらなく素敵だと思うのだ。
しっかりしているというのも、なかなか不自由かもしれない。
本文のほうでは、彼女のことを悠長だとか、負けても平然としているとか書くことが多いんだけれど、それは先生との対比で言っているだけで、そんなことはあるわけがなくて、彼女は彼女なりに考えたり悩んだりするところがあると思う。
それを表には出さないだけで。
年上メンバーが彼女を評する時に「しっかりしている」というのはたぶん、表には出さない彼女の一面を知ることができるからではないのだろうか。
そこらへんは先生と対照的で、先生は「一人でなんでもやらなくちゃ」と思い詰める姿があまりにもはっきりとしているせいで、中澤にも「もっとみんなに頼ればいいのに」とか、安倍に「助けてあげたい」と思わせることのできる、実は得なキャラクターをしている。
出来なければ出来ないほど、応援してあげなくちゃ、と思わせるという意味では、コアな石川ファンというのは先生が無意識で放っている助けて光線にやられた面々なのではなかと思う(むろん、この俺も)。
反面、彼女はそういう弱い姿を見せない。
「泣いてる姿を見られたくない」と思いながら、そのことをインタビュアーに話してしまう先生とは違うのだ。
強がっているだけなのかというと、それとも違う気がする。
たぶん彼女は本当に強いのだ。ひとりで乗り越えられるだけの精神力がある。無意識的にそれだけの強さがあることを感じているから、弱い姿を表に出さずにいられるのだと思う。
実はそれこそが本当のポジティブで、どんな時でも普通に「なんとかなるさ」と思える心のことだ。
実際、メンバー内で個々人の人気がどう判断されているのかわからないが、彼女は「I wish」で辻加護の後塵を拝し、「恋レボ」で石川の後塵を拝して、結果的には新メンバーの中で4番手になり、保田と並んで発言の少ない存在になってしまっている。
これが先生だったらネガティブ病にさいなまれて飯田をキレさせているところだろう(笑)
やっぱりわかりやすいのは得だ(^^;)
保田と並んで……というところで思いだしたのだが、やっぱり性格なんだろうと思う。長女だからなのかな。保田が「弟が怪我をした時に何度も家に電話しているよっすぃーを見て優しい子なんだな」と思ったという発言を聞いたことがある。彼女の(他人を先に行かせられる)芯の強さは家庭環境のたまものなのだろう。
自分は自分で後から行けばいい。
それが彼女の強さなのだ。
まあ、その育てられ方のよさが仇になって、目立ちたがり屋ばかりに埋もれてしまうという現状にもつながるんだけどもね。
彼女のクールさというのは身なりのボーイッシュさや、声の低さだけにあるのではない。そういった生きる姿勢そのものにあるのだ。うわべだけのとってつけたものじゃない。本物のクールさだ。
メンバーが彼氏にと慕うのも無理もない(笑)
娘。精神というものが逆境に裏打ちされているのなら、その精神を本当の意味で持っているのは、5万枚を手売りしたオリジナルメンバーと、「ふるさと」で地獄を経験している追加メンバーまでだと思う。
こればかりは先輩たちがどれだけ口を酸っぱくして言おうと、ナンバーワンアイドルとしてのモーニング娘。しか知らない後藤以降のメンバーにはわからない。(反面、彼女たちは落ちた時の怖さをまだ知らないわけだが)
その8人にも温度差がある。中澤はよく後から入ったメンバーは苦労を知らないと口にするが、矢口、保田、市井の3人には別の悩みがあっただろう。後輩である彼女たちは歌番組にゲスト出演しても常に後回し、何をするにもオリジナルメンバーの後塵を拝しなければならない。2番手でいなければならない不満や悔しさは3人だけのものだ。
永遠の2番手。
それが追加メンバーについてまわる宿命であり、中でも矢口はこの文字に縛られ続けてきた。
タンポポ加入によって3人の中からいち早く抜け出すチャンスを得られた彼女だったが、タンポポはブレイクできなかった。4曲出してもオリコン1位を取ることができずぐずぐずしていると、後藤を擁したプッチモニがデビュー曲いきなりミリオン達成。市井と保田にいち早く1番の栄光を体験されてしまったのだ。
「挫折と勝利」は、娘。の原初体験であり、娘。が持つ最大のカタルシスだ。
娘。オリジナルメンバーは、シャ乱Qロックボーカリストオーディションに落選したメンバーであり、そこからインディーズCDを5万枚売り切るという逆境を経てデビューを果たした。その後も、新メンバー加入、鈴木あみとの同日発売対決で惨敗、など幾度となく危機に陥りながら、彼女たちは7枚目のシングル「LOVEマシーン」で本当のブレイク。ショウビズの頂点に立った。
そのビルディングスロマンこそが娘。が作り出す(娘。のファンが得られる)最高の快感だ(と俺は思っている)。
挫折から始まったデビューというドラマを持つオリジナルメンバーは生まれながらにしてそのロマンを保有している。市井と保田はタンポポ落選という挫折から始まり、「ちょこっとLOVE」のミリオンヒットという栄光を得た。
矢口だけが、ただ彼女だけが、その恍惚を得られずにいたのだ。
3色ユニットでも、彼女は誰の目から見てもおまけを集めた青色7。成績は案の定最下位で、またもや脇役に甘んじてしまう。
彼女は常に2番手なのだ。決して主役にはなれない。それはたぶん彼女の人生の中でもそうだったと思う。娘。に入るまで、その身長は彼女の成功を阻む最大の要因だったろうし、せっかく手に入れたタンポポというチャンスにおいても、キャラクターの強さにおいて飯田の引き立て役というポジションしか得られなかった。
しかし昨年、そんな矢口に運命の光が届く。
セクシービームだ。
モーニング娘。というトップステージにいながら、スポットライトに立つことができずにいた彼女に光が当てられた。ついに彼女に向かって風が吹き始めたのだ。
幸運はさらにつづく。
皮肉なことにそれは市井が吹かせてくれた風なのだが、彼女は市井が抜けたことでぽっかりと空いた「次にブレイクする娘。は誰だ」というポストに滑り込むことができた。
ゲストではなく、娘。単体の番組が始まるようになったという状況も幸いする。司会の投げるボールへのリアクションが面白いキャラだけではなく、自分から喋る能力、そしてリーダーの中澤の相方がつとまるトーク能力をもったキャラが求められるようになっていた。
そして、辻加護の参加だ。
娘。内ユニットはプッチモニの成功で、大人向けの中澤、20代向けのタンポポ、中高生向けのプッチモニ、というカテゴリーに仕切り直されていた。
ミニモニ。は、誕生こそただの成り行きだったのかもしれないが、他の勝手ユニットみたいなお遊びに終わらず、最終的にCD発売まで持ち込めたのは、幼稚園〜小学生というかぶらないターゲットを見込めたからだ。その条件を整えたのは辻、加護だ。
セクシービームを手に入れて以来、すべての運命が矢口に向かって動きはじめたのだ。
そして18歳の誕生日を迎える今週、ミニモニがCDをリリース。
ついに矢口が主人公になる時が来た。
逆境から始まり勝利を手にすることが、娘。の生み出すドラマの真骨頂なのだとすれば、彼女もついに「娘。」になる時がきたのだ。
オリコン1位。
その時はもうすぐ。すぐ手の届くところまで来ている。
(2001.01.20)
「ぶひ」
ヤンタンでさんまに「安倍、太っただろ」と言われて、一瞬絶句するなっちを見て、ああ、やっぱ、打たれ弱さは変わってないや……と、思った矢先のおねモーでの自虐ネタ。なっちついに開き直ったか! と思わず笑ったんだけど、
放映順と収録順って同じとは限らないんだよね。
いや、昔のなっちを知らない人は「ぶひ」でゲラゲラ笑ってかまわないと思うんだけど(ネタなんだから)、昔のなっちを知ってる俺は、彼女の自虐はおかしくて悲しくなる。
もともと俺はASAYANをテキトーに見ていたクチで、愛の種もモーニング娘。も知っていたけど、知っていると胸を張れるほどは知らなかった。メンバーが増えたり減ったりしてることは知ってたけど、名前までは知らないような。そんな俺が娘。に引きつけられたのは「LOVEマシーン」で、それは後藤真希じゃなくて、安倍なつみだった。
ファンになる前の話なんで、ビデオに撮っているわけもなく、こっから先は俺の記憶の話になる(だから事実と違ってる部分があるかもしれないが、これは俺の心の中の話なので、事実は点検しない)
たしか「LOVEマシーン」のレコーディングの回じゃなかったかと思う。
スランプに陥っててうまく録れないなっちは、みんなに謝るんだよ。
そしたら中澤姐さんが怒るんだ。
「なんで謝るねん!」
その頃のモーニング娘。は「抱いてHOLDONME!」当時の勢いはなく、売り上げは下がるいっぽうで、一番人気のなっちをリードボーカルとして前面に押し出した一枚が「ふるさと」だったわけだ。ところが勝負は大惨敗(娘。のシングルの中で最低のセールス)。もちろんその頃は「LOVEマシーン」が運命を変える一枚になるだなんて誰も知るわけもなく、もう解散だな、みたいなネタがちやほら出てくるような状況だったわけ。
なっちの謝る気持ちも伝わるし、姐さんが怒るのもわかる。
「ふるさと」惨敗の責任を自分ひとりで背負い込んでメロメロのなっちは当然つらいだろうし、そんななっちを見て姐さんだってつらいだろう。他意がなかろうと自分たちは無力だって言われているようなものだし。頼ってくれない不満もあるはずだ。
お互いのやりきれなさが画面からじんじんと伝わってくる。
それで、ああ、応援しようかなって気になって、ずるずるハマっていったわけだが(^^;)
でね。今の話。
なっちは他人から大事にされてないと(評価されていないと)すごく不安になるタイプの子だと俺は思っている。まあこれは現在までのなっちストーリーの自分なりの解釈なわけだけど。
一番人気だった当時にこんなことを言うんだ。
「(タンポポのCDは)悔しくなるから聞かない」
なんでなっちがタンポポうらやむの? と思うかもしれないけど、うらやむ人間は10本の指にダイヤが輝いていても、隣りの人の指輪をうらやむものだ。
誰よりも上にいないと落ち着けない。
その強迫観念がどこからやってきたのか?
中学時代のイジメられ体験?(なんでもトラウマで片付けるのはよくないな)
そこらへんはデータがないんで、深くつっこまない。
要は、なっちは自意識が強いということだ。
運のいいことに娘。のトップを手に入れた彼女は、向けられる賞賛を自負に変換しながら自分を燃焼することができ、運の悪いことに「ふるさと」の次の曲は「LOVEマシーン」だった。
2曲のセールス差が安倍と後藤の差だなんて誰も思ってないし、言う必要もない。
彼女自身がそういう結論へ自分を追い込んでいったろうから。
「LOVEマシーン」が売れれば売れるほど焦燥はつのる。
夢にまでみたミリオン。夢にまでみたアイドルシーンの頂点だ。
どこへ行っても自分たちの曲が聞こえ、誰もが自分たちの歌を口ずさむ。
なのに彼女は食べ続ける。止められない。
その結果が「ピンチランナー」だ。
武道館ライブビデオでもいい。
見ろ、あの二段腹を。
笑うしかないだろう。笑いながら泣くしかない。
誰が好きこのんで二段腹を公衆にさらしたいと思う? 18歳の少女が。
でも彼女はどうにもならない思いを食べることでしか鎮めることができなかったんじゃないのか?
そこまで自分を追いつめることなんてないのに――追いつめたのだ、彼女は。
捨てればいい。「ふるさと」までの自分を。
二番で納得しろ、というのではない。
二番からやり直そうと思えばいい。
そう思えれば楽になれる。
なのに彼女は言う。
「17歳に戻りたい」
去年の誕生日でそう言うの聞いて、まだこだわっているのか、と思った。
今年に入って読売新聞だっけか? 夕刊のインタビューでも同じことを言った。
そりゃあ戻りたいだろう。
でも、過去に縛られてるかぎり、彼女は自由になれない。
本人はたぶんかなり努力してると思う。
自分はもうお姫様じゃないってこともわかってるだろうし、いい子ちゃんぶっていてもダメだということもわかってるんだろうなと思う。だから他メンにキツイこともいうし、容赦なく笑ったりする。自虐ギャグも飛ばす。
なのに、自分がキツイことを言われた途端にリアクションが止まる。
傷つきたくないからいい子でいることをやめられない。
美人でいることを無意識から捨てることができないんだ。
(だから、なっちは他メンにはヒドイことを言うくせに、自分は守ろうとしているとか言われたりする)
なっちは優しくて朗らかで感動屋だというのは本当だと思う。
でも、どんな時でも優しくあるためには強くなくちゃいけないんだよね。
なっちは弱い。
よく、後藤との関係を取り沙汰されるけどさ。
後藤の事が嫌いなのかというと、そんなことはないと思う。
けれど、後藤のいなかった頃の自分を捨てることもできない。
というか、後藤が悪いとか後藤が憎いとかいう感情に自分を持っていくことができれば、それはそれで前向きになれたんじゃないだろうか。
でも、そういう子じゃないから。
自分がなにかを出来ていれば「ふるさと」は売れたんじゃないだろうか。自分になにかが欠けていなければ後藤に負けることはなかったんじゃないだろうか。自分になにかがあればこんなみじめな姿になることもなかったんじゃないだろうか。
自分が、自分が、自分が。
根が優しいからこそ、負の感情を自分の中に落としこんでいくしかできないんだよ。
だからもがくしかない。
そのたびに俺は、俺の原点に戻る。
CDが売れなかった責任を自分の中に押し込んで、歌うこともできなくなってしまったあの頃に。
なっちに計算はないよ。
そこまで自分をコントロールできれば苦しまない。
天然だから、人より回り道をするんだろう。
自分を変えていくのにも。
……なーんてな。
これは全部俺の中の話。俺が勝手に組み上げた想像(妄想)。
なっちに聞いたわけでもないしね。
でもまあ、そんな俺は、さんまに「太った」と言われて絶句するなっちの、その1秒足らずの時間を、その1秒の間に俺の中を走った感情を説明するのに、これほどのテキストを費やしてしまったりするわけだ。
アホだ〜。
だから、なっちのわりと素に近そうな、いい子でいない姿を見ると、嬉しかったりする。
食いしん坊バンザイだっていいじゃん。
おおらかななっちは、俺の目にはキレイに見える。
彼女の理想ってどこにあるのかな。
お母さんみたいな人になりたい、ってよく言ってるけど、たぶんそれは精神的なことで。
おおらかさは、彼女がたぶん母親から受け継いだ優しさや朗らかさが強くなったしるしじゃないかな、とか思ったり。
それでキレイに見えたり。
やっぱり今のなっちは19歳なんだよ。
17歳の頃にはなかったモノをしっかりと持ってるし、それは彼女を強く(美しく)してると思う。
だから、こんだけ書いておいて言うのもなんだけど、俺は今のなっちをそんなに心配してなかったり。
たまに(絶句するなっちに)ぎくっとすることがあるけど、たぶん、大丈夫だべ。
焦らず、のんびりと見守るってのがいいだろ。
自虐ギャグに笑ったりしながらさ。
とかまあさんざん書いたけど、何年後かに自叙伝とか出て、激太りの真相は、なんかもっと下らない理由だったことがわかったりしてな(笑) それもいいかな。笑えるオチがいいや。
(2001.02.06)